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METAL HAMMER JAPAN 編集部ブログ

マイケル・ヴァイカート/ハロウィン

各国のミュージシャンが語る<新型コロナ・ウィルス対策>の現状

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メタル・ミュージシャンに世界のコロナ事情を聞くインタビュー。その第5弾は、ハロウィンの最古参メンバー、マイケル“ヴァイキー”ヴァイカートが登場。現在はスペイン領カナリア諸島に属するテネリフェ島に済むヴァイキー。昨年からアルバム作りを進めており、ロック・ダウン中も作業は進めていたという。彼らの今後の展開とは?

通訳:トミー・モーリー

※インタビューの本篇は、9月発売予定の『メタルハマー・ジャパンVol.3』にて!

 

世界的に見ればわりと優秀で、終息した状態なのかもしれない 

—現在、お住まいの地域の状況はいかがですか?
 僕が今住んでいるスペインでは、マドリードを含めていくつかの都市で爆発的な感染が起こっていた。そこには大きな国際空港があったりと、それなりの要素があってウィルス感染が広まっていったんだ。実際に住んでいるテネリフェ島は観光業が盛んな小さな島なので、観光客が途絶えてしまった現在は、感染がほとんど確認されていなくて、死亡者数も4人に留まっている。
—日本でも、大都市から離れた地域と近いかもしれません。
 しかし、この4人という数字は、捉え方によっては危険な状況と言えなくもないだろう。また彼らは皆高齢者だったので、今回のコロナ・ウィルスが直接的な引き金だったと言い切れないところもある。世界的に見ればわりと優秀で、収束した状態なのかもしれないね。僕が住んでいる地域周辺ではもう半分ぐらいの人がマスクを着けずに出歩いていて、今のところはマスクは必要ないと考えられている。
—なるほど。
 もちろん1~2ヵ月前は完璧なロック・ダウン状態で、人が歩いていないような状況が続いていたよ。ただここは観光に依存する島なので、ホテルは完全に閉まっていて宿泊業はまさに悲惨な状態さ。それにこの国はもともと失業率が高くて、経済状況が必ずしもいいってわけじゃないから、仕事のない人がとても多くなってきているよ。

 

外出禁止ということで、スタジオから出られなかったこともあった

—このパンデミックの最中、バンド・メンバーとのやりとりは、やはりビデオ通話などになりますか?
 確かに大抵のことはそれでできてしまうけど、今のところ、そもそもやれることがないんだ。ただ、ひとつだけ進行していることがあって、実は次のアルバムのプロダクションを、ここテネリフェを拠点としてまさに今やっているんだ。
—おぉ、そうだったんですね。
 去年の12月にドイツのハンブルグにあるシャトー・スタジオというところでバンド全員で集まり、プリプロダクションを行なっていて。このスタジオは『カメレオン』(1993年)から『ベター・ザン・ロウ』(1998年)までをレコーディングした場所で、今はオーナーが変わり名前も変わっている。そこでほとんどのドラム・トラックを録音して、一部ほかのスタジオでも録音したね。曲のアレンジを詰めたり、ある程度の土台をそこで作ったあと、その素材を持ち帰ってテネリフェで続きを行なうんだ。
—ギターなどをテネリフェで、という。
 僕のギターやマイケル・キスクとアンディ・デリスのヴォーカルのほとんどのパートは、ここで録ったね。マイケルはほかにも自分のパートを自宅で録音してチャーリー・バウアーファイント(プロデューサー)に送ってたけど、大部分はロック・ダウンの直前までここで作業をしていた。チャーリーはニューヨークでミックス作業を行なっていたけど、時折いくつか素材を録って送ったりもしていたので、ここテネリフェでの作業はロック・ダウン中も行なわれていたんだよ。おかげでアレンジとレコーディングのほとんどの部分をテネリフェで進めることができた。
—実は、そんなに進んでいたんですか。
 ただ、ある晩作業していたら、外出禁止ということでタクシーを呼ぶことすら許されず、僕はスタジオから出られなかったなんてこともあった。深夜11時にタクシーが捕まらないとなると、もうスタジオに泊まるしかないからさ。オンライン・ツールということで言えば、僕はFaceTimeを通じてよくサシャ(ゲルストナー/g)とチャーリーとレコーディング作業の確認をしていたよ。
—では実際のバンド活動となると、いつ頃の再開になりそうだと考えますか?
 一連のパニックが過ぎ去り、コンサートを開催してもいいとなったら、もちろん僕らもプレイしに行きたいところだ。今は豚を起源とした新しいウィルスが発生したなんてニュースも出ているけど、また近い日に、かつてと同じ状況に戻れることを祈っている。どこかでエアロスミスが公演を来年の今頃に延期するという告知のポスターを目にしたし、ロック・バンドだって嘆いてばかりいるわけじゃないんだ。今の段階では、僕らが具体的にどういう順番でどう行動していくのかはまったくわからないけど、その日が来るのを信じているよ。

※インタビューの本篇は、9月発売予定の『メタルハマー・ジャパンVol.3』にて

 

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