BABYMETAL結成10周年を記念した企画展《10 BABYMETAL LEGENDS -EXHIBITION- 》が開催中だ。開催初日には、BABYMETALの頭脳＝KOBAMETALも来場。短い時間ではあったが、彼女たちの10年について、プロデューサーならではの的確かつ興味深い話を聞かせてくれた。
BABYMETALのおもしろさって、
いわゆる「メタルをど真ん中で通ってきた人じゃない人がやるメタル」。
BABYMETALの魅力を端的かつ明瞭に伝えるもの……それはライヴにほかならない。これまで“LEGEND”という冠がつけられ、語義どおり伝説的ライヴを数多く残してきた彼女たち。KOBAMETALも“「BABYMETALはライヴのなかで生きている」ということを言っているんです。まさにBABYMETALの活動＝ライヴというか。歴史、伝説……ライヴにはそういったもののすべて詰まってるなんじゃないかなと思っていて”と語る。あの圧巻のステージを目にしたことのある人ならば、その言葉に納得というところだろう。
あのパフォーマンスに行き着くためにKOBAMETALからも“メタルらしさ”をさまざま伝承されたのだろうと思えば、実はそうではない。彼女たちが自分たちの音から“メタルがなんたるか”を感じとり、創出していったものなのだ。
“もちろんダンスの振りつけやコール・アンド・レスポンスといったことへのアドバイスはあったんですけど、ワタクシから「こういうメタルのアーティストを聴いたほうがいい」とか「勉強したほうがいい」とかって、おそらく今までないんですよね。BABYMETALのおもしろさって、いわゆる「メタルをど真ん中で通ってきた人じゃない人がやるメタル」。それが自分のなかでは新しいメタルの形、イコールBABYMETALなんです。ワタクシのなかでは、逆に知らないでいてくれたほうが新しいものが生み出せると思っていました。メンバーがBABYMETALのサウンドやダンス、お客さんのリアクションだったりを受け取って、それを自分たちなりに咀嚼して解釈してアウトプットしているのがBABYMETAL。そういう形で、メンバーにゆだねているところはありますね”。BABYMETALのパフォーマンスから感じられる新しさには、そのような要素もあったのだ。
さて、何度もショウを観てきたという人には、それぞれに“自分にとっての伝説的ステージ”、“歴史的出来事”があったことだと思うが、最も近くでBABYMETALを見てきたKOBAMETALにとって、この10年での最大のターニング・ポイントはなんだったのだろうか？
“やっぱり、結成したときじゃないですか（笑）。［BABYMETAL］というグループ名が降りてきたとき、そこからすべてが始まりました。その時点で「これはいけるな」と。［BABY］と［METAL］というワードもスゴくキャッチーだし、［ヘヴィメタル］と［ベビーメタル］という言葉遊びみたいなところもある”。
確かに、一度聴けば忘れられないネーミングだが、もちろんそれだけで成功するものではない。最も重要なのは、やはり人と人とのつながりだ。
“そして、やっぱりメンバーとの出会いが大きかったと思います。そういったものがすべて積み重なって……何かひとつではなく、今日まで関わっていただいた皆さんとのいろいろなことが積み重なったところだと思います”。
10年というときのなかでさまざまな経験を積み、進化を続けてきたBABYMETAL。“リアルとファンタジーの融合”と言われる彼女たちの躍進と成長を、KOBAMETALはこのように振り返る。
“キャリヤを重ねるごとに「ひとつの高い山を登ったら、また次の高い山を登っていく」ような、ハードルを次々に上げていく活動ですよね。本当に漫画の世界のような出来事というか、BABYMETALはすごいミラクルが次々と起こっていき、それがリアルにそのまま成し遂げられていくという。「まだ上があるのか、まだ上があるのか」みたいな高い山をずっと登り続けていくことでの人間的成長も大きかったんじゃないかなと”。
もちろんSU-METAL、MOAMETALともに “とは言え、その山を登ったからといって驕ることはなく、常に真摯にそのプロジェクトに対して臨んでいる”という姿勢は変わらず持っている。彼女たちのステージやメディアでの挙動を見れば、これは言わずもがなというところか。
この先変えなければいけないこともあるし、
逆に変えてはいけないこともある。
このように、何事かあったとしても常に前進を続けてきたBABYMETALであるが、KOBAMETALは当初から現在の姿を予見していたのか？
“ヴィジョン・マップじゃないんですけど、自分のなかでメモ的なものをつけていて、「こうなったらいいな、こういうことをやりたいな」ということも書いていたんです。今見返してみると、2012年くらいに書いたことがその4〜5年後くらいに実現していたりとかがちょこちょこあったんですよね。だからもしかしたら、その何か強い想いに向かって実直にやっていくということはスゴくあったんのかな”。
ロブ・ハルフォードやメタリカといったメタル・レジェンドとの共演も、KOBAMETALが以前から掲げていた目標でもあった。
“本当に子供の夢みたいなものですけど、そういったことも常に描きながら、どうしたらそこにたどり着けるのかを考えてみたりして、実際にそれが実現できたりとか。こういうのをずっと「メタルのハート」って言うんですけど（笑）、そういう強い心を持ちながらやり続けていくことがすごい大事なのかなと感じました”。
まさに“念ずれば花開く”を実践したとも言えるが、“現場を含めたチーム全員でひとつの目標に向かっていけた”ことも、その花を咲かせる大きな要因になっていたとも語ってくれた。
ただし、当パンデミックはキツネ様にも想定外の自体。しかしそのなかで行なわれた《10 BABYMETAL BUDOKAN》（日本武道館での10公演）は、徹底した感染症対策などもあり、全10公演とも中止・延期になることなく無事完走となった。
“こういう状況のなかでお客様にもご協力いただいて、大きな事故やクラスターなどは一切発生せずやりとげられたのはスゴく大きな出来事です。キツネ様からのお告げとよく言うんですけど、そういう点も含めて、我々がBABYMETALをやり続けて、大変な局面でも＜結成10周年で武道館10公演＞をやり遂げられたってことは、強いメタルのハートのおかげなのかなと。メンバーとスタッフとファンの気持ちがひとつになったことが大きかったのかな”。
まだ平常とは程遠いエンターテインメント業界ではあり、“それはBABYMETALに限らず、この地球上で暮らしている皆さんにとってスゴく大きな出来事だと思います。やっぱりこの先変えなければいけないこともあるし、逆に変えてはいけないこともある。そこをどううまく乗り切っていくのかは大きな問題だと思っている”というように、その行く先はまだ不安定だ。
なによりもキツネ様によりLEGENDが“封印”されたBABYMETALであり、次なる展開は誰もが気になっているところ。それはKOBAMETALも同じようで……！？
“そうですね、ワタクシも気になる（笑）。＜Only The FOX GOD Knows＞という常套句がありまして、BABYMETALを司るキツネ様のみぞ知る……どうなるかわかりませんが、期待しています（笑）”。
KOBAMETALが期待しているというのだから、我々もメタル・ハートに熱を宿し、大いに期待して待っていればいいということだろう。きっと彼のメモには、もっと大きなBABYMETALの未来が書かれているのだろうから！
《10 BABYMETAL LEGENDS -EXHIBITION- 》
■東京会場
○会場：hmv museum「HMV&BOOKS SHIBUYA」6F
○開催日程：2021年9月4日（土）～9月23日（木・祝）
○営業時間：11:00〜19:30（※入場は19:00まで）
■大阪会場
○会場：hmv museum心斎橋「HMV&BOOKS SHINSAIBASHI」店内
○開催日程：2021年10月1日（金）～10月10日（日）
○営業時間：11:00〜20:30（※入場は20:00まで）
※各店の営業時に応じ、hmv museumの営業日・営業時が変更となる可性がございますのでご注意ください。
■入場料：1,000円（税込み／未就学児無料）
◎KOBAMETALがライヴの原点について語った初の著書が発売中！
『10 BABYMETAL LEGENDS』
○KOBAMETAL・著／ぴあ MUSIC COMPLEX PMC・編
○1,870円（税込み）
＜https://www.piabooks.com/10babymetallegends＞
◎BABYMETAL10年の活動を、イギリス目線で切り取った《10 YEARS OF BABYMETAL IN UK〜英国が見た彼女たちの10年》を収録！
『METAL HAMMER JAPAN Vol.7』
※9月15日発売！
先日、キツネ様のお告げにより、来る10月10日を持って10年間に及ぶLEGEND＝ライヴが“封印”されたBABYMETAL。そんな彼女たちの第二の故郷とも言えるのが、“ウェンブリー”や“ソニスフィア”といったエポックメイキング的公演を行なった英国だ。同地にて、彼女たちの10年はどう映っていたのだろうか？ ロブ・ハルフォードを筆頭としたトップ・メタル・ミュージシャンから、英国レーベルやフェス運営関係者まで、我々日本人とはまた違った視点で見たBABYMETALの活躍と真価。
◆スペシャル・インタビュー
⚫︎ロブ・ハルフォード
⚫︎ハーマン・リ
