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ミシェル“アウェイ”ランジュヴァン/ヴォイヴォド【『METAL HAMMER JAPAN Vol.9』より】

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 毎号、メタル・ミュージシャンが考えるそれぞれの“ヘヴィさ”について語ってもらう本連載。今回は初のドラマーとなる、ヴォイヴォドのミシェル“アウェイ”ランジュヴァンが登場だ。スラッシュ・メタル・シーンを出自としつつ、“突撃一辺倒”にはならない唯一無二の世界観を、結成より40年を迎えた今も変わらずに持ち続けているバンドと言える。そのオリジナル・メンバーであるアウェイが持つヘヴィの流儀は、最新作『シンクロ・アナーキー』でも体現されている。

 

Interview by Mirai Kawashima

 

決して無理やりヘヴィに演奏しようとは思っていないよ。
すべては自然に出てくるものさ。

―早速ですが、ニュー・アルバム『シンクロ・アナーキー』がリリースとなりました。今回もヘヴィかつスリリングで、非常にいい作品に仕上がったと思います。

 そうだね。『ザ・ウェイク』(2018年)以上とまでは言わなくても、同じくらいいいアルバムを作りたかったからさ。今回は以前のレコーディングとは少々違うプロセスがあってね。何しろロックダウンだったから、自分のPCでデモをプログラムして、みんなとファイル交換をして……というプロセスは、過去にはなかったことだった。やっとスタジオに入れるようになるまで、そうやって作業をしていたんだ。

―レコーディング時期は?

 昨年の6月なんだけど、スタジオ入りした時点では、まだリハーサルが充分にはできていなくて、準備万端という感じではなかったな。レコーディングしながら曲を書き続けているという感じで、とても大変だったよ。以前、そういうことはなかったから。

―やはり、コロナの影響は少なからずあったんですね。

 2019年にGWARとのヨーロッパ・ツアーから戻ってきたあと少し休みをとって、それからみんなで集まって曲作りのジャムをするはずだったんだけど、2020年の3月にロックダウンになってしまったから。ただ、ツアー中にチューウィー(ダニエル・モングレイン/g)やロッキー(ドミニク・ラロッシュ/b)がパソコンにアイディアを録音しているのを見て、俺もやってみようと思ったんだ。それでドラムだけをプログラムして、ほかのメンバーに渡したり。

―そうだったんですね。

 キリング・ジョークのようなポストパンクっぽい、タムをたくさん使ったビートをね。パソコン上ではいろいろやってもいて、ボツになったアイディアをつなげてみたりとかさ。こういうことがアルバムに『ディメンション・ハットロス』(1988年)っぽいフィーリングを与えたかもしれないな。曲の同じパートのなかで、違った方向に進んでいったりとか。

―複雑なリズム・チェンジが非常に印象的な作品でもありますよね。

 間違いなくフュージョン・メタル・アルバムだよ(笑)。

―ドラマーとして、今も他者からインスピレーションを受けることはありますか?

 今ヴォイヴォドがやっていることは、ドラマーとしてハードルが高くやりがいがあると思う。俺にとって素晴らしいことだよ。チューウィーはとてもジャズへの造詣が深いから。10代の頃、マグマやソフト・マシーン、キング・クリムゾン、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターといったバンド、あるいはザッパ時代のテリー・ボジオから音楽を学んでいたときのことを思い出すんだ。

―あなたのプレイからは、ヘヴィメタルやパンクと同じく、そういった要素も聴くことができますからね。

 そうだね。ほかにもモントリオールのアバンギャルド・シーンともつながりを持つようにしているし、インプロをすることで、自分のドラミングの幅も広げている。チューウィーは素晴らしい作曲家だし、ピギー(故デニス・ダムール/g)も素晴らしい作曲家だった。俺は恵まれているよ。

―ジャズと言えば、「ジ・エンド・オブ・ドーマンシー」のジャズ・アレンジメントは最高でした。ブラス・セクションと一緒にプレイするというのはいかがでしたか?

 これはいつものことだけど、俺がカーブを曲がり損ねてしまうと、ほかのメンバーも道連れになってしまう(笑)。だからあのときも、リズムをはずさないように細心の注意を払ったよ。ブラス・クインテットのことは“メタル・セクション”と呼んでいたけど(笑)、彼らは素晴らしくて、俺はあの長い曲をきちんと演奏しようととても集中していたにも関わらず、演奏をみんなに聴いてもらえる喜びを得ることもできた。それに、ピンク・フロイドの『原子心母』のオープニングのような、とてもエピックなものを演奏している気分になれたから。俺の夢は、いつかヴォイヴォドでシンフォニック・オーケストラと共演することでさ。

―おぉ、いいですね!

 チューウィーはブラス・クインテット用の譜面も書いたし、『ザ・ウェイク』では弦楽四重奏のパートも書いているからね。オーケストラと共演できたら、彼もとても楽しめるだろう。俺たちの音楽には映画的要素もあるからさ。

◎続きは『METAL HAMMER JAPAN Vol.9』  でどうぞ

 

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