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METAL HAMMER JAPAN 編集部ブログ

ショーン・ロング/ホワイル・シー・スリープス【『METAL HAMMER JAPAN Vol.10』より】

自分たちのエモーションを過剰に表現した結果、
それが激しさにつながっている。

 毎回、楽曲に込めたヘヴィ・サウンドへの考えについて話を聞く本コーナー。今回はメタルコア・シーンにくくられつつも、多様なギター・アプローチで起伏のある楽曲を聴かせ大きな人気を得ているホワイル・シー・スリープスより、ギタリストのショーン・ロングが登場だ。最近ではシャーベルからシグネイチャー・モデルもリリースした彼だが、本器には、楽曲をヘヴィにするためにどのようなこだわりを注ぎ込んだのだろうか?

 

Translation by Tommy Morly 

 

メタルコアだと思われるよりも
純粋に音楽を作っていると思われたい。

―バンドはすでに15年に及ぶキャリアを積んできました。結成前はパンク寄りのスタイルでもあったそうですが、当時目指していたサウンドとは?

 純粋に自分たちが聴いてきたものに影響を受けて、それをもとにサウンドを作っていったよ。ただやっぱり根底にはパンク精神は宿っていて、俺ら5人のなかには常にパンクが根づいているよね。サブスクがある今では、カテゴライズされなきゃならないのはわかっているけど、メタルコアのバンドだと思われるよりも、純粋に音楽を作っていると思われたい。まぁ“パンク・メタルコア”なんていう呼び名は俺がつけたわけじゃないけど、それで気に入ってくれるならそれでもかまわないさ。

―パンクをベースに、そこからメタル的な要素が入る過程で、どのような刺激や影響があったのでしょう?

 ビッグなリフやコーラス、リード・ソロなんかも、ずっと好きだったんだよ。俺たちの歌詞には“自分たちを信じて立ち上がったり、納得いかないことにノーと抗うアティチュード”というパンク精神があって、そこにメタル・サウンドを加えているという感じかな。

―自己分析としては、そういった棲み分けになるんですね。 

 バンドを結成してから、時間の経過とともにエモーションやライヴの規模、世界情勢、そしてサウンドも変化してきたよね。 昔のままの人なんて誰もいないと思うし、昔と同じ音楽を期待すること自体が無理な話だよ。アルバムを遡ればそのとき自分が感じていたことが収められているわけで、それを聴き返して書いたときの様子を思い出すこともある。だから意図的に音楽を作ってきたわけじゃなくて、その瞬間ごとに、周囲から影響を受けてきたんだ。

―また個人として、影響を受けたギタリストというと?

 サム41のデイヴ・バクシュ、ブリンク182のトム・デロング、アズ・アイ・レイ・ダイングのトミー(ガルシア)とニック(ヒバ)には大きな影響を受けたよね。ダーケスト・アワー、キルスウィッチ・エンゲイジのアダム・デュトキエヴィッチもね。忘れてはならないのがスライスのテッペイ・テラニシで、俺のリード・パートの作り方は、彼にかなり影響を受けているよ。

―メタルコアと呼ばれるバンドの曲には、リズム的な盛り上がりばかりを意識したものも少なくありませんが、ホワイル・シー・スリープスの楽曲はヴォーカルはもちろんギター・フレーズにもメロディがたくさん入っており、ヘヴィさのなかにキャッチーさもあるからこそ、オーセンティックなメタル・ファンからの支持もあるのではと思います。

 俺らの音楽ではパワーを大切にしていて、ビッグで強くて叩きつけるようなものが好きなんだ。それは必ずしもブレイクダウンを指すわけじゃなく、大きなコーラスやメロディであったってかまわない。音楽を作るときは全体を見渡さなければならないと思うし、毎日ブレイクダウンやリフばかりを聴き続けるなんて俺には無理だよ。そもそもハードコアやメタルといった名前でくくることがイヤだし、5人で作ったものを単に“メタル”とだけ片づけられるのも好きじゃない。

―ギター・フレーズのキャッチーさからは、やはりメロコア的な要素がいい効果を発揮していると感じます。自身でも、10代の頃の感覚がうまく作用していると感じるのでは?

 それはあるね。トム・デロングが弾いていたターコイズのストラトキャスターに憧れて、俺が最初に手に入れたのはスクワイアーのストラトだったくらいだから。あの頃のインパクトは今でも心のなかに刻まれていて、時折あの頃の気持ちに戻ることもあるし、それはしばらく持ち続けたいとも思うんだ。

―やはり、初期に得た刺激はずっと残るものですね。

ただ、近年になって俺はメタルからの影響が薄らいできて、むしろエレクトロニックやアコースティック音楽からの影響を感じるようになって。ダフト・パンクやエイフェックス・ツインといった人たちから影響を受けてリフを書くことが多くなったな。

 

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◎続きは『METAL HAMMER JAPAN Vol.10』  でどうぞ 

 

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