ドリーム・シアターのフロントマンが9年ぶりのソロ作をリリース。
ここでは、ドリーム・シアターとして受賞したグラミーについて振り返る。
去る4月には、ドリーム・シアターとして念願のグラミーを受賞し、来る《DOWNLOAD JAPAN 2022》にてメイン・アクトとして久しぶりの日本公演を発表......など、活発な話題 に欠かない彼らであるが、そのフロントマン、ジェイムズ・ラブリエは、さらに9年ぶりのソロ・アルバムをドロップ。本作はドリーム・シアターとも過去のソロ作とも一線を画す、アコースティックな曲調を軸としたメロディ溢れる一枚となった。コロナ禍に作成を始めた本作に、彼はどのようなメッセージを込めたのか。
Translation by Tommy Morly
何よりもグレイトな曲だからだと心の底から思っている。
―まずはなんと言っても、グラミー受賞、おめでとうございます!
ワォ、ありがとう! 三度目の正直というところかな(笑)。授賞式当日は興奮なんて全然していなくて、“どんなことになろうとクールに過ごそう。僕らが受賞すると決まったわけじゃないしね”という感じだった。しかし実際に自分たちの名前が呼ばれたら圧倒されたし、何が起きたのかわからなくなってしまった。
―きっと、そういうものなんでしょうね(笑)。
メールをくれたジョン(ペトルーシ)を含めて、誰もが同じように信じられない気分だっただろうさ。自惚れやエゴのように感じられたくはないけど、ここまでの道のりは本当に長かったし、受賞できてグレイトだよ。
―これまでにもノミネートに挙がることはありましたが、今回「ジ・エイリアン」で受賞となった要因はなんだと考えますか?
何よりもグレイトな曲だからだと、心の底から思っている。僕が書いた歌詞っていうのは15歳だろうと70歳だろうと共有できる内容で、生物種としての人類がこの地球という枠組みを超えて永遠に繁栄していくかを問い、そしてこの星を破壊しないことへの期待を込めている。現在起きている環境破壊や気候温暖化の問題にも目を向けてもらおうとしているんだ。
―ただのSFではないという点も重要なんですね。
かつて「オン・ザ・バックス・オブ・エ ンジェルズ」と「ジ・エネミー・インサイド」でもノミネートとなって、僕らの認知度は上がってきただろうし、グラミー・アカデミーもそのことが無視できなかったんだと思う。だから「ジ・エイリアン」は偶然ではなく、受賞に値する曲だったんだろうね。とはいえ、これはあくまでも僕の仮説に過ぎないよ(笑)。
―“受賞が決まったわけではない”……と思いつつも、“今回はいけそうだ”的な予感や自信はあったんですか?
いい感触は持っていたけど、同時にノミネートされていたほかのバンドに対するリスペクトももちろん持っていたよ。デフトーンズは昔から大好きだったし、マストドン、ロブ・ゾンビだって長年やってきたバンドで、グレイトな音楽を作り続けてきたよね。彼らに負けることはないなんて微塵にも思わなかったし、この分野でやっているほかの候補者に対する敬意は常に抱いているから。けれどもハッキリと言えるのは、僕らはこの曲に対して強い信念を持っているということ。グレイトなコーラスがあってキャッチーでとてもパワフルな曲なんだ。どんなバンドと競り合っても劣ることはないと思っていたけど、その末にたまたま幸運が舞い降りたということだよ。
―ちなみに、事前に何か告知はあるものなんですか?
そういったものはまったくなかったね。事前情報はまったくないんだ。僕らの名前が呼ばれてジョンが会場で受賞スピーチをしたけど、そのときになってやっと“君が受賞者だぞ。オー・マイ・ゴッド、僕らは受賞したんだ!”ってメールを受け取ったんだ。関係者への通知は一切ないから、数日前から何か知ったような顔をしながらソワソワするなんてことはないんだよね(笑)。
―ハハハ、逆に変に浮足立たずに済みますね。しかし、今後のショウでも“グラミーの曲をやるぜ”的なことが言えるのは、バンドはもちろん、新らしいファンのためにもいいですよね。あなたのMCのイメージではありませんが。
おもしろいことに、それは絶対にありえないんだ。というのも、この曲はライヴのオープニング曲だからさ(笑)。でも、こんなにも名誉ある賞をもらった曲でライヴがスタートできるなんて、とてもグレイトだと思うし、オーディエンスの頭にグラミー受賞曲をぶち込んで始められるなんて最高じゃないか! ライヴが始まるとイントロのSEを流してメンバーが登場し、演奏が始まったら僕が入って歌い始めるわけだから、曲紹介なんてする間もないよ。いつの日か、次のワールド・ツアーなんかでは紹介できる日が来るかもね(笑)。
◎ソロ・アルバムについて、続きは『METAL HAMMER JAPAN Vol.10』 でどうぞ
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