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METAL HAMMER JAPAN 編集部ブログ

《スペシャル・インタビュー》サム・カーター/アーキテクツ【『METAL HAMMER JAPAN Vol.13』より】

同世代ヴォーカリストのなかでも群を抜いて秀でたサム・カーターが
読者からの質問に答える。

 2022年、新作『The Classic Symptoms Of A Broken Spirit』をリリースしたアーキテクツのサム・カーター。ヴォーカリストとしてバンドの顔を務める彼だが、ご存知のとおりオリジナル・メンバーではない。そんなサムはどのような形で加入し、そしてその独特なヴォイスはどのようにして作りあげたのか? 読者からの数々の質問に、彼ならではの真面目さと繊細な思考で答える。

Interpretation by Tommy Morly

 

俺は発狂し、怯え、叫び、ジンをカッ喰らったんだ。

 サム・カーターは、同世代のなかでも群を抜いて秀でたヴォーカリストのひとりだ。ナンバー・ワンを記録したアルバムを引っ提げてビッフィ・クライロと行なった大規模なアリーナ・ツアーでは、新たなオーディエンスを前に、自分たちの勢いがとどまらないことを示した。しかしサムは読者からの質問をどう切り抜けるだろうか?

 

—海沿いの街として過大評価されているのは、ブラックプールとブライトンのどちらですか? その理由も教えてください。
 ともに俺の心のなかにヘンな形で存在している。俺のバアさんはバーンリー(ブラックプールの東にある街)の出身で、ガキの頃に遊びに行っていたよ。ブライトンはたぶん過大評価されているね。けっこうビジーな街だよな。グレイトだけど、ホヴ(ブライトンの西に隣接した街)のほうがベターだ。俺は死ぬまでホヴ推しだな。

 

—もしポケモンを手に入れることができるとしたら、どのモンスターを手に入れますか?
 “フォッコ”は俺の飼っているソフィアっていう犬に似ているんだ。彼女はルーマニアのレスキュー犬で、けっこうな雑種なんだが、キツネみたいなルックスをしているよ。

 

—折れてしまったスピリットを、どう癒していますか?
 1年も経てば治るさ! できることなら自分が置かれた状況を笑えるようでありたいよね。誰もができるわけじゃないけど、暗闇のなかでも光を見つけられるようでなきゃならないね。

 

—すでに存在しているバンドに参加することは、あなたにとってチャレンジングなことでしたか? 最初は自分のスタイルでトライしましたか、それとも加入以前からバンドのスタイルに追いつくことを目指しましたか?
 俺がオリジナル・ラインナップにいなかったことに、多くの人は気づいていなかったんだ。“オリジナル・ラインナップじゃなきゃダメだ”という神話を俺は崩してやったんだ!
 バンドの最初のUKでのヘッドライン・ツアーに俺は参加し、毎晩ステージに登って最後の曲で(以前のヴォーカリストのマット・ジョンソンとともに)歌っていたから、新ヴォーカリストとしてすでに俺を紹介してくれていたようなものだった。
 当時の俺はマヌケなところがあって、エネルギーに満ち溢れていた。高いところに登っては跳び降りたりしていて、目障りな野郎だったと思うね。

 

—ライヴで歌っていてエモーショナルになり過ぎる曲はありますか?
 「Memento Mori」(2016年の『All Our Gods Have Abandoned Us』に収録)だね。トムにとってあまりにも重要な曲だったから、ライヴでフルでプレイすることはないだろうと常に話し合ってきた。彼抜きでやってもシックリこないだろうからさ。たくさんのものが混じり合い、想いが引き起こされる曲なんだ。

 

—[アビー・ロード・スタジオ]で行なった『For Those That Wish to Exist at Abbey Road』のレコーディングのように、ライヴでオーケストラと共演する計画はありますか? 
 ぜひやってみたいと思うよ。アビー・ロードって、そこにいただけでも信じられないような場所だった。あまりにも特別だったから、あの場で感じたエモーションをボトルに詰められていたらと思うよ。あまりにも凄腕のミュージシャンたちに囲まれていたから、俺らは“台ナシにするんじゃないぞ、絶対に台ナシにしちゃダメだぞ”となっていたからさ。さすがにその状況は収められていないけど、「Black Lungs」をやった直後に俺はパニくってしまい部屋を出ていったんだ。
 俺は“ダメだ、もう無理だ!”って感じで完璧にナーバスになっていたし、俺の喉も閉まって歌えなくなっていた。あれだけ多くの人と長い時間同じ部屋にいたのは初めてのことだったし、カメラやたくさんの照明まであったわけだから。数年ぶりのパフォーマンスだったうえに、あの曲でのヴォーカルはヒドいものだったな。
 アビー・ロードっていうのは俺にとって重要な場所だったから、目から涙が溢れそうだった。俺は“自分だけじゃなく、みんなのことまでも台ナシにさせてしまうんじゃないのか?”となっていたよ。そうしたら俺らのマネージャーがジン・トニックを手渡し、“5分くらい落ち着け、そうすりゃお前は大丈夫さ”と言ってくれた。だからよく聴き返してくれれば「Black Lungs」で俺はナーバスになっていて、進むに連れてもっと快適になっていくのがわかると思うね。誰にもこのことを教えた話がないけど、俺は発狂し、怯え、叫び、ジンをカッ喰らったんだよ。

 

◎続きは『METAL HAMMER JAPAN Vol.13』 でどうぞ

 

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