メガデスと約24年ぶりの共演を果たしたマーティ・フリードマンに直撃!
彼ならではのヘヴィとは!?
数々のメディア出演など、今では幅広い層にお馴染みのマーティ・フリードマンだが、やはりマーティにはヘヴィなステージが似合う! 先日のメガデス日本武道館公演での邂逅を皮切りに、彼のヘヴィ・サウンドのルーツを聞く。やっぱりマーティってメタルじゃん!
メガデスを脱退したあと
完全に無視していました。
—今回は2月末のメガデス日本武道館公演にて久しぶりに彼らとステージをともにしたマーティさんに、“ヘヴィの流儀”を聞いていきたいと思います! 本取材は公演前ではあるんですが、この話はいつ頃からあがったものでしょうか?
去年の秋〜冬くらいだったと思います。ムステインから“興味はあるか?”と連絡がきて、“やる”と言ったら“じゃあ詳細がわかったらまた連絡する”と言われたんですよ。
—そもそも、今現在もムステインと親交があったことが意外でもありました。
しょっちゅうではないけど、連絡があってもビックリはしない。普通に親しいし、お互いの活動を応援したりとか、情報を交換したりとか、大したことはないけど、たまに連絡はありますね。
—遡れば1993年の『破滅へのカウントダウン』時の日本ツアーでは日本武道館公演が予定されていましたが、ムステインの体調問題からツアーがキャンセルになったということがあります。当時は悔しい想いもあったと思います。
当時の気持ちを簡単に言うと、最初はめちゃめちゃガッカリしました。特に僕ぐらいの年齢のロック・ミュージシャンはチープ・トリックとかキッスとか、伝説的な武道館ライヴにすごく憧れるじゃないですか。やっと武道館が決定になってすごく嬉しかったのに、いきなりなくなったことで、怒りとかガッカリとか、いろんなネガティブな気持ちはもちろんあったんですけど、最終的にはあくまで“ライヴ1本はライヴ1本”で、人の人生はよほど比べられないほど大事だから。
—それくらい、ムステインの状態は悪かったんですね。
最初はなんだよという感じだったけど、ふざけてキャンセルになったんじゃなくて、このままだと本当に死んじゃうわけ。彼も僕とまったく同じで武道館でやりたかったし。その瞬間はもちろん人間だから嬉しくはないけど、深く考えたらそれを乗り越えて元気になるほうがよほど嬉しいじゃない? もしそのとき武道館でライヴを行なっていたら大変なことになっていた可能性もあったし、本当に冷静に考えたら最終的には彼が健康になって非常に嬉しいですよ。
—心身ともに健康であればこそ、音楽も続けられるわけですからね。そしてその積み重ねで、今回メガデスも日本武道館に戻ってこれたわけで。続けることの大切さを痛感させられます。
尊敬してますよ。僕はそんなに細かくメガデスの行動を追っているわけじゃないんですけど、まだやっていて、そして武道館が決まってる。そのメインテナンスは本当大変じゃないですか。だからやるじゃんって。僕とまったく違う方向にいったんですけど、このきっかけで再会できるなんて非常におめでたいことです。
—ですね(ニコ)。
だって、普通のバンドの寿命は短い。メガデスって簡単なバンドじゃないですよね。バンドのダイナミクスが独特ですから、いいミュージシャンでもバンドのダイナミクスにうまく合わせないと難しいと思うので、演奏の部分にも人間関係の独特のスキルが必要です。それって非常にレア・スキルだと思います。だから人が出たり入ったりするけど、そうなのにずっと続けてきてツアーもやったり、非常に誇りを持つべきだと思う。だから僕はその成功を見てとても心が温まるし、これができて嬉しいです。
—バンドを去ったあとでも、やはりそういう喜びは共有できるものですよね。
僕は脱退したあと、完全にメガデスのことを無視していました。例えば取材でもメガデスの話は一切しない。必ず断る。今までですよ、20年くらい。そうすることで自分のやりたいことがメガデスと関係なく進められるじゃん。だから今メガデスの話ができるということは、自分のことがちゃんとできているということ。ただ、初めてメガデスの話ができるようになったので、ちょっと何を話せばいいかわからないですね(笑)。
—この20年間を自分の力でやりきって、マーティ・フリードマンというミュージシャンを確立したからこそ、メガデスのことを話してもいいという気持ちになったということですね。
なりましたね。こういうシチュエーションって、ふた通りあるかもしれない。ひとつは前に入っていたバンドのことを名乗って“元メガデスの人だから、メガデスっぽい話題を出して”とか。でも僕はそれは全然興味ないし、そう思われたくはなかったので、なるべく早く完全にメガデス関係は切りました。たまにメンバーから“今〇〇を作ってるからコメントしてくれる?”とかあって、ちょっと嫌ながら“まあいいや、友達だから”って輪を守るためにやったんですけど、いつも後悔した。僕の歴史上でも非常に誇りなんですけど、メガデスはメガデス、マーティはマーティだから。だから今回一緒にやるのは、ちょっとドキドキするんですよ。
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