熱狂の渦を生み出したメガデスの日本武道館公演。30年のときを経ての開催で、また当時のメンバーであるマーティ・フリードマンとの約24年ぶりの共演というトピックもあり、パンデミック前の各ステージを思い返しても、近年まれに見る盛り上がりを見せた一夜だったと言えるだろう。
その数日前には同じ東京エリアである[豊洲PIT]での公演も開催されており、かつ本会場ではマーティとのリハーサルも行なわれていた。今回はその翌日、東京公演を数日後に控えたメガデスのメンバー……デイヴ・ムステイン、聞こ・ルーレイロ、ダーク・ヴェルビューレン、ジェイムズ・ロメンゾの4人に話を聴くことができた。
本web記事では豊洲公演、そしてマーティとのリハーサルについての話題をご紹介しよう。
Translation by Kyoko Amatatus Maruyama
Interpretation by Tommy Morly
◎インタビューの完全版は次号『METAL HAMMER JAPAN Vol.14』にて!
そもそもマーティと再び会えたことが素晴らしかったね。
たくさんの思い出がよみがえって、すぐにグレイトなムードになれたから。
―日本武道館公演を控えた、同じ東京エリアでの[豊洲PIT]公演でしたが、ここも大盛況となりましたね!
ダーク・ヴェルビューレン グレイトだったよ。僕らが前回プレイしてから数年ぶりということで期待が大きかったのがわかっていたし、パンデミックのせいでライヴそのものが誰にとってもご無沙汰だったわけだろ? 本当に誰もが興奮していたと思う。それは僕らにとってもそうで、ここに戻ってこられて興奮していたし、ショウが始まった直後のリアクションには特別なものを感じたよ。
ジェイムズ・ロメンゾ ホテルでもファンに会ったんだけど、日本武道館公演に関することや豊洲PITでの手応えなど、一連の熱狂を目にしてとても嬉しく思っているね。
キコ・ルーレイロ 僕らは常に日本でライヴがしたいと思ってきたし、最後にプレイしたのは2017年だったかな? かなり久しぶりだったんだ。僕らは去年の12月に再び集まってプレイし始めたんだけど、今回はさらにマーティを迎えて演奏する。これって本当にグレイトなことだよ。
デイヴ・ムステイン 昨夜のショウはグッドだったし、日本武道館の前に一発プレイできたことは良かったと思うな。ギターに積もっていた埃も取り払って調子を確認することができたからね(ニヤ)。12月初頭以来、俺らはそろってプレイしていなかったんだ。もう3ヵ月も一緒に演奏していなかったわけで、バンドがひとつになることが必要だった。俺はひとりで家にいるときはそんなにギターをプレイしないからさ。
―そんなことを一瞬も感じさせないステージでした。
デイヴ 昨晩ステージに上がってオーディエンスを目にして、武道館に向けたとても綿密なリハーサルをしているような気分だったんだ。日本の友人たちをたくさん目にしたし、本当に見たことのある顔触れがフロアにはそろっていた。君を見つけられなかったのは申し訳ないが(笑)、長年親交のあった人たちがそろっていたんだよ。あんなに和気あいあいとした雰囲気があったのは素晴らしいことだよな。武道館のライヴはもっとスケールの大きいものになるし、カメラが20台以上も入ることになるから、相当ビジーなショウになるだろう。実際友人たちとゆったりと過ごす感じにはならないだろうから、昨晩は彼らと身近に触れ合うことができて良かったよ。
―“喉の手術後”という点でも、日本公演としては昨夜が初となりました。2017年のステージよりも、明らかに声が力強くなったと感じられました。実際に、歌いやすくなっという実感はあるものですか?
デイヴ サンキュー! 俺らは武道館をパーフェクトなものとするために、とにかく細かいパートを詰めることに集中しているんだ。歌ってのもギターを弾き込めばプレイがもっと良くなるのと同じようなもので、武道館では歌う感覚がもっと戻ってくるだろうね。
―ダークとキコはデイヴの術後の経過を間近で見てきましたが、歌唱の回復についてはどう感じていましたか?
ダーク 2020年初頭にはヨーロッパをツアーしていたんだけど、それはデイヴが手術を行なった直後のものだった。みんなライヴを行うことにナーバスになっていたし、デイヴだってもちろんそうだったと思う。
デイヴ あぁ、そうだったな。
ダーク でも彼は新たな声を見つけたような感じだったし、自身のなかに埋め込まれていた問題が取り除かれることで、再びかつての状態に戻れたんだ。復活してからのツアーでは、行程が進むにつれて声がどんどん強くなっていくのが感じられて、日を追うごとにライヴが良くなっていったよ。こんなことは今までに感じたことがなかったし、ときには鳥肌が立つようなことさえもあったから。
デイヴ ありがとう。ダークは歌うことがないから当てはまらないんだが、キコとジェイムズは俺をサポートしてくれていた。特にステージに上がる前の声のウォームアップを一緒にやってくれていたんだ。俺は自分のことをヴォーカリストとして考えたことがなくって、“歌いもするギター・プレイヤー”と考えてきたから、そういったことを今までにやってこなかったんだ。でも今じゃ、ウォームアップの時間が長めに取れるなら、声を出すことにも重きを置いてやっているね。
―どんなアップをするんですか?
デイヴ 曲を徹底的にプレイすることもあるし、そのおかげで本番の長いステージをバッチリのパフォーマンスで終えることができている。これによってすべてがやりやすくなったよ。俺は曲をしっかりと聴くことさえできれば、それによって細かいパートも自然とプレイできるようになってくるものなんだ。
―昨日はマーティを交えたリハーサルが行なわれたそうですね。相当久しぶりのことだったと思いますが、彼とのジャムはいかがでしたか?
デイヴ キコとマーティが話し合っている光景を見たり、そもそもアイツと再び会えたことが素晴らしかったね。たくさんの思い出がよみがえり、すぐにグレイトなムードになれたから、それ以上の多くのフィーリングを思い出すことはなかったかな。
―キコは、マーティ在籍時の過去曲では、概ねオリジナルを尊重したソロをプレイしていますよね。
キコ 今まで映像や音源で充分に研究してきたから、今回改めて彼から何かを学ぶという感じではなかったけど、彼とステージで一緒にプレイすることは楽しかったね。以前から彼のスタイルを知っいるし、そもそも共演する曲はずっと前から知っていた曲でもあったからさ。
―リズム体としては、現在のメガデスが持っているグルーヴにマーティが入ってくるような感覚でしたか?
ダーク 正直なところ、僕らには何の選択権もなかったよ(笑)。
ジェイムズ マーティがステージに上がる直前まで俺らは音を合わせていたんだけど、彼がステージに上がって発した最初の言葉は“ダークのドラムはゾクゾクするね”ってことだった。バンド全体があまりにもパワフルなサウンドだったから、彼は俺らと一緒にプレイすることに興奮していたらしいんだ。率直にそう言ってもらえてこちらも光栄だったよ。彼の存在によって俺らも何かを引き出されたような感覚だったね。
◎インタビューの完全版は次号『METAL HAMMER JAPAN Vol.14』にて!
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