アイアン・メイデンの元ドラマー、クライヴ・バーの姪っ子で女子プロレスラーのレイン・レイバークーセン。今回、待望の初来日を果たし“赤井英和の娘”赤井沙希との一騎打ちも予定している彼女を直撃! 今回は自身のプロレスのこと、日本で見せたい闘いなどについて聞いた。もちろんアイアン・メイデンのことも! 彼女が“クライヴ時代のメイデン”で一番好きな曲とは?
Text by Keizo Takasaki
◎“アイアン・メイデンの姪”レイン・レイバークーセンが、プロレスラーとして日本デビュー!<前篇>はこちらへどうぞ!
2021年10月にプロ・デビューをして、約1年半が経過しているレイン・レイバークーセン。彼女のイギリスでの試合は、YouTubeでいろいろと見ることができる。彼女はいくつもの団体のリングに上がっており、今やイギリスの女子プロレス・シーンを代表する選手のひとりであることは、その動画につけられた説明や、試合中の実況・解説陣の言葉からもわかる。
そしてやはり、彼女には“Maiden Of Metal”というキャッチ・フレーズはつけられているものの、叔父であるクライヴ・バーの存在はほとんどPRに使われてはいない。彼女はあくまで“メタルに影響されたハードなスタイルの女子プロレスラー”なのだ。
リング上での彼女はパワフルで躍動感に溢れている。目を惹くのは一瞬で相手の頭部を刈るハイキックや、軽々と相手をリングに投げつけるスープレックスといった技。自分のファイト・スタイルについて、彼女はこう説明する。
“私のプロレスは基本的にブリティッシュ・スタイルで、アメリカン・スタイルみたいに派手なアクションは少ないかもしれません。そこに叔父のキャッチ・フレーズ<HIT'EM HARD>に影響されたチョップの連打や、ダンスの経験で得た体の柔らかさを生かした動きなど、私ならではのものを加えています。派手に場外に飛んだりするわけではないけど(笑)、楽しんでもらえると思います”。
そして、さらなる成長も目指している。“まだデビューして2年にもなっていないので、もっといろいろな技や動きを身につけたいと思っています。これからはもっともっとハードなスタイルを習得していきたいですね”。
そして今回、憧れの地・日本で戦う機会を得た。
“日本で戦うことは私の夢だったし、ものすごく楽しみでした! 日本のレスラーたちは私にとっても大きな存在で、影響もすごく受けています。今回、日本に呼んでくれたDDTにはすごく感謝しています。DDTにはいろいろなキャラクターの選手がいて、団体名どおり(DDTは<ドラマティック・ドリーム・チーム>の略)すごくドラマティックなプロレスを展開するので、ここで闘えるというのは本当にエキサイティング! これだけ多彩なキャラがいるなかで、レイン・レイバークーセンとうキャラクターを日本の人たちにも印象づけたいですね”。
今回の来日では全5戦に出場予定だが、本稿執筆時点ですでに2試合を終えている。SNSでは“これがあの<アイアン・姪デン>か!”、“日本初試合見られた!”といった声も上がっている。
今回の来日では<3vs3>で闘う6人タッグ・マッチが4試合、最終戦の《5・3横浜武道館大会》では、DDT女子の代表格、赤井沙希とシングル・マッチを行なう。6人タッグは男女混合団体のDDTらしく、男子レスラー2名とチームを結成して、やはり男女混合の相手チームと対戦する。レインのパワーをもってすれば、男子相手でも充分に渡り合えるだろう。
また、最終戦となる赤井沙希戦は楽しみな一戦だ。赤井といえば元ボクサーで俳優・タレントの赤井英和の娘。“赤井英和の娘vsクライヴ・バーの姪”という要素はふたりのファイトそのものには関係ないが、こう並べるとどれだけ異次元対決かがわかろうというものだ。
“日本で試合をするのが待ち遠しくて仕方ないです。しかも、DDTには《アイアンマンヘビーメタル級》っていう王座があるんでしょ? 私にピッタリだと思うんです! サキとの試合に勝つことももちろんだけど、その王座も獲りたい!”。
彼女が言う《アイアンマンヘビーメタル級王座》とは、いつでもどこでも誰でも、その時点のチャンピオンから勝利を奪えば獲得できるという、破天荒なタイトル。これまでにはレスラーだけでなく山里亮太や山川恵里佳といった芸能人、果ては<脚立>や<書>(美輪明宏の書いたもの)までが歴代チャンピオンに名を連ねているが、ある意味で最も説得力のある彼女がこのベルトを腰に巻ける日は来るのか?
王座と言えば、彼女は《Maiden Of Chaos》王座を保持している。これはいかにも彼女のために作られた王座のように見えてしまうが、そんなことはない。王座制定は2017年にまでさかのぼり、昨年11月に獲得したレインは第5代王者。本人も“いかにも関係ありそうですよね? でも違うんです”と笑っていた。もし彼女がDDTのリングで《アイアンマンヘビーメタル級王座》を獲得すれば、《Maiden Of Chaos》王座と2冠王ということになるが……。
彼女の雄姿がまた日本マットで見られるかは、今回の本人の闘いぶりと、メタル・ファンたちの支持にかかっていると言っても過言ではない。前述の5・3横浜における赤井沙希戦は特に重要だ。彼女も“もっともっと、何回も日本に戻ってこられるような試合をしたい”と意気込んでいる。
ちなみに……と、インタビュー終盤になって聞いてみた。“クライヴさんは最初の3作で脱退しましたが、レインさんは今のアイアン・メイデンも好きなんですよね?”と。彼女はにこやかな顔をさらに笑顔でいっぱいにして“もちろん!”と答えた。
“メイデンのことはずっと愛しています。ブルース・ディッキンソンのオペラティックなスタイルが大好きだし、どの曲もお気に入りです。もうね、メイデンはマーマイト(イギリスの食品。トーストに塗って食べるのが一般的)並みに日常生活に溶け込んでいます(笑)。なかでも一番好きなのは、リリースされたときに初めてリアルタイムで聴いた『ファイナル・フロンティア』の1曲目「サテライト 15… ザ・ファイナル・フロンティア」! 兄が運転して家族でドライブに行くときもいつもいつも聴いていて、ものすごく思い出深い1曲です”。
またクライヴ時代の曲では“『魔力の刻印』に入っている「暗黒の街」が好き。クライヴのすごいドラムから始まる曲で、ほかの有名な曲に負けないパワーを持っていると思うから”。
レインは最後に、日本のファンにこんなメッセージをくれた。
“メタルが大好きな[METAL HAMMER JAPAN]読者の皆さんにお目にかかれてすごくうれしいです! メタルとプロレスが好きな人なら、私の試合を見てもらえれば気に入ってもらえるはず。今回、日本の文化とか食事に触れられるのをすごく楽しみにしているし、この経験をイギリスに持って帰って、自分の試合に生かしていきたいと思います。よかったら、ぜひ試合を見にきてください! Making it Rayne!(“Make it Rain=大金をばらまく”というスラングをもじったレインのキャッチ・フレーズ)”
“アイアン・メイデンの姪”が“赤井英和の娘”と激突!
DDTプロレスリング《MEGA MAX BUMP 2023 in YOKOHAMA》
<インターナショナル・スペシャル・シングル・マッチ>
赤井沙希 vs レイン・レイバークーセン
5月3日(水/祝)@横浜武道館
詳しくはオフィシャルHPへ<https://www.ddtpro.com/lp/20201>