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《スペシャル“パンテラ”インタビュー②》アウトレイジ【『METAL HAMMER JAPAN Vol.12』より】

ライヴ共演者が間近で見たパンテラのサウンドと人間味。

 《スペシャル“パンテラ”インタビュー①》のテリー・デイトの話に続いては、パンテラの初来日ステージをサポートしたアウトレイジの丹下と阿部が語る、当時の様子を一部紹介しよう。
 ライヴはもちろん、サウンド・チェックから打ち上げまで間近で見ていた彼らに、パンテラのプレイ、そして人間性はどのように映ったのか? 同世代であるふたりが、30年前の彼の日のことを、まるで昨日のことのように語ってくれた。

 

『俗悪』は突き抜けているというか
芸風を確立したというか。(阿部)

 

—そもそも、パンテラというバンドの存在を知ったのはいつ頃でしょうか? 
丹下眞也 バンド名とデフ・レパードっぽいことをやっているという情報は知っていたんですが、自分の好みではないなと勝手に推測して、聴いてはいなかったんです。『カウボーイズ・フロム・ヘル』が出たときに話題になって、それで聴いてみたという具合です。ただ、正直な話“ショックを受けた”ということはなくて、“あ、そうなの?”という感覚でしたね。
阿部洋介 “ブームが来てる”というのが先に立っていたので、ちょっと壁みたいなものはありましたからね。僕も『カウボーイズ〜』から聴いて、そこから遡って過去のアルバムも聴いたら“光るものがあるな”と納得しました。

—日本のリスナーの多くも、『カウボーイズ〜』で初遭遇というケースでしょうね。今回の話のテーマは『俗悪』になりますが、『カウボーイズ〜』から2年後の作品となる『俗悪』を聴いたときの印象は?
阿部 『俗悪』はやっぱりピンときたよね。なんか突き抜けているというか、芸風を確立したというか。特に「ウォーク」とかちょっと変わったグルーヴで、タメ具合もユーモラスじゃないですか。
丹下 成長というとちょっと図々しいのかもしれませんが、“こんなにメジャーな感じになってくるんだ”ってビックリしましたね。特にギターの音。今聴くと『カウボーイズ〜』からの流れなんですけど、エッジの効いた感じ、鋭さをより極めていると思う。メタリカとはまた違う、聴いたことのないソリッドさがあるなという気はしました。
阿部 さらに言うと、僕はドラムの音が発明だなと思った。バッキバキのやつ。

—なるほど。そして発売同年の初の日本公演にて、アウトレイジはオープニング・アクトを務めます。それまでも海外バンドとの共演はありますが、話題のバンドであったパンテラとステージをともにすると聞いたときの感想は?
丹下 旬のバンドっていう、一番トップに上がったときですからね。やっぱり嬉しいというか、ありがとうっていう感じですね。自分は自分たちのライヴをやるのとまったく変わらない気持ちでしたけど、さすがにパンテラとなると公演数が多くて会場が大きいというのがあるし、当然パンテラのファンが多いわけなので、受け入れてもらえるかな?っていう心配はありましたね。
阿部 会場がスタンディングのフロアじゃなく椅子が固定だったんで、その経験があまりないのでそれがキツかったな。

—ズバリ、生演奏を間近で観たときの感想は?
丹下 私はサウンド・チェックを見て驚きましたね。そこでの音を聴いて“CDと同じじゃん!”って、それがまず驚きでした。ギターもドラムも、もちろんベースもみんな同じ音で“なんじゃこれは!”って。
阿部 僕も同じで、演奏もさることながらサウンドにビックリしましたね。“ライヴでこれ?”みたいな。

—プロが見ても、高次元の再現度であったと。
丹下 パンテラ・チームの技術力なのか、普通はならないですよ。ドラムはトリガーを使っているので、使っていないバンドよりははるかに再現できるとは思いますが。ただそれも、実際に見て“こんなもんがあるんだ”って感じでしたよね。トリガーの存在は知っていましたけど、実際に使っているのを見たことがなかったので。“あ、これなんだ。これは太刀打ちできないよな”と、そのときは思いましたね。

—すべてのドラムにトリガーが?
丹下 はっきり記憶はしていないんですけど、全部に使っていたと思います。タムは上からじゃなくてなかにマイクを入れていて、シンバルも1本1本の下に小さいマイクを付けて採っていた記憶があります。そういうのってメリットとデメリットがあるんですけど、パンテラの場合は音の分離を良くさせるためにやっていたと思います。

 

“普段行かないところに”って感じで
近所のつぼ八に行ったんですよ。(丹下)

 

—丹下さんから見た、ヴィニーのドラマーとしての特徴は?
丹下 もうぶっ叩いている感じですよね。
あとはドラム・セットがデカい。特にタムが長いので、すごい斜めにしていましたね。パンテラはヴァン・ヘイレンに似ていると思っていて、アレックス・ヴァン・ヘイレンみたいな感じで、基本はぶっ叩いている感じでアメリカ人ならではのグルーヴがある。テクニックとグルーヴの両方を持っているんです。

—実際に、ドラムについて話すことはありましたか?
丹下 彼は少し年上だから、ワイワイするというタイプじゃなかったので、話す機会はなかなかなかったんです。ただドラムをうしろから見てはいて。ツーバスを使っているところで、ヴィニーのスライドは横にズラす動きで、それを両足でやるんですよ。当時はその奏法を知らなくて、タップダンスを踊っているようで“ナニコレ状態”ですよね。足を浮かせたまま全身を胴体で支えて演奏して、めちゃめちゃコントロールが効いているで、これはすごいなと思いました。

—阿部さんは、ダレルについてどのようなギタリストだと感じましたか?
阿部 うまい! 当時、彼に関するトピックであったのが、アンプがトランジスタだということ。それは当時は特に変わっていて、実際のサウンドも変わっている。それが第一印象で、こういうやり方があるのかと。ギター・ソロもすごく音がいいじゃないですか。演奏も丁寧ですよね。逆に神経質さを感じるというか、全部をちゃんと置きにいっているという。破天荒なパーティ感とは裏腹に、すごい丁寧に弾いている感じですね。

 

◎続きは『METAL HAMMER JAPAN Vol.12』 でどうぞ

 

『METAL HAMMER JAPAN Vol.12』 ではダイムバッグ・ダレルとレックス・ブラウンの復刻インタビュー、そしてプロデューサーであるテリー・デイトのインタビューも掲載!

 

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