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METAL HAMMER JAPAN 編集部ブログ

フィリップ・H・アンセルモ 【メタルハマー・ジャパンVol.1より】

カリスマが語る、今パンテラを歌うこと。 

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 1990年代のメタル・シーンを代表するカリスマ・シンガー、フィリップ・アンセルモが、自身の名を冠したバンド“フィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズ”として来日。エクストリーム・ミュージック・スタイルを聴かせるこのバンドだが、直近では“A Vulgar Display of PANTERA”と銘打ったツアーも行なっており、ファンの期待は大きく膨らんでいった。ときにはセットリストの大半をパンテラ・ナンバーが占めることもあるのだが、彼の心境とはいかに。自らの歌唱について、そしてパンテラについて語る。

取材・撮影:岡見高秀 通訳:トミー・モーリー

 

成長を重ねたメンバー全員が
バンドに貢献している。

――今回は“フィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズ”としての公演でした。あなたの名前の入ったグループ名になっていますが、本バンドのスタンスとしては、ソロのカラーとバンドのカラーとで、どちらの比重が大きいのでしょうか?

 いや、これは完全にバンドだよ。俺が音楽を作り始めてから出会ったなかで最高に才能のある連中とやれていて、本当に光栄だよ。みんなクールだし、マジで作業がしやすいんだ。だからこれはキチンとしたバンドなんだ。

――これまでにも、あなたが主軸となったバンドはありましたが、自分の名前を全面に出しているということで、その意気込みにも違いがあるのでは?

 俺のこれまでのバンド・キャリアを見渡したとき大きく異なるのは、このバンドのメンバーは誰もが曲に貢献できるってことだろうね。俺がイチからすべてを作る必要すらないんだ。一発目のアルバム(『ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー』2013年)は俺が細かいところも含めてすべてを作ってきて、2枚目のアルバム(『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』2018年)でも多くのリフを作ってはいるものの、バンドとしての成長を重ねたメンバー全員がアイディアを提供してバンドに貢献している。たくさんのサポートが得られているっていう点で、これは俺にとってグレイトなことなんだ。

――バンドとして、全員で楽曲を作っていくという形になっていったんですね。

 今じゃアイツらが主体となってリフを持ってきていて、俺はむしろそういったアイディアをオーガナイズしてすべてが滞りなく進むようにコントロールする側になっているくらいさ。俺らは最近になってやっと新しい曲に取りかかってきたところで、まだその早い段階にいる。だけど、もうひとつのバンド(EN MI NOR /エン・マイナー)のほうがこれからの俺の時間の多くを占めそうだし、今は俺のなかからクリエイティビティが自然な形で湧き出ている時期なんだ。再びヘヴィメタルにフォーカスした内容になるだろう。イリーガルズでの次の作品を出す時期は正確にはわからないけど、そういったムードになったら、具体的な話も出てくるだろうね。こればかりはやっていかないとわからないさ。

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――自身のバンド・メンバーには、どんなことを求めますか?

 バンドとして集まったときにはキチンと目の前のことに向き合い、音楽に集中し、自分たちを高め、そして人間として成長する姿勢を持つというところだろうね。それはバンドとして成長するということも意味していて……それはプロフェッショナルとしての姿勢っていえば話が早いのかな。バンドの活動の外でトラブルを起こすのは論外だし、最近じゃ俺はアルコールを断った。酒にだらしないヤツってのは俺には必要ないんだ。音楽をプレイするためのミュージシャンが俺には必要だからさ。

 

ピンク・フェアリーズだって
ヘヴィメタルになり得るんだぜ!

――1990年代、それまでにないハードな音楽を打ち出しつつ、ヘヴィメタルを標榜していたパンテラは当時のシーンの顔でした。今、それとはまた違うヘヴィメタル・サウンドを聴かせていますね。

 もちろんさ!

――あなたにとっての“ヘヴィメタルの定義”とは?

 イリーガルズはエクストリームな音楽のバンドだと言わせてもらいたい。多くのヘヴィメタルのジャンルをカバーしていて、デス・メタル、ブラック・メタル、そのほかエクストリームなものは何でも網羅している。しかし俺にとっての本当のヘヴィメタルとはジューダス・プリーストもそうだし、それ以前のジェスロ・タルの『アクアラング』みたいな初期のヘヴィメタルも含んでいる。ピンク・フェアリーズだってヘヴィメタルとなり得るんだぜ。これは宿題だ、ピンク・フェアリーズをちゃんと調べて聴いておけよ(笑)!

……宿題出ましたね! そんなフィリップは『メタルハマー・ジャパンVol.1』でもまだまだ熱弁をふるいます!

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