ジミヘンの『バンド・オブ・ジプシーズ』を聴いてからライヴ・アルバムの虜になった
9月16日発売の『METAL HAMMER JAPAN Vol.3』では《ビリー・シーンが振り返る MR.BIGと“ライヴ・アルバムの時代”》と題し、MR.BIGの歴代ライヴ・アルバムに合わせて、その時々の心情、バンド内の空気を語ってくれたビリー・シーン。ここでは本篇には収まりきらなかった、それら“ライヴ・アルバムを制作する意義”についてのインタビューをお届けしよう。ぜひ、『METAL HAMMER JAPAN Vol.3』での本篇記事をご堪能いただいたのちにも、改めて本稿での言葉を読み返してほしい。
通訳:トミー・モーリー
※インタビューの本篇は、9月16日発売の『メタルハマー・ジャパンVol.3』にて
ライヴ盤はエキサイティングでとても興奮する
僕はジミヘンの『バンド・オブ・ジプシーズ』(1970年)を聴いてからライヴ・アルバムの虜になってさ。チープ・トリックの『チープ・トリックat武道館』(1978年)、グランド・ファンク・レイルロードの『ライヴ・アルバム』(1970年)、ピーター・フランプトン『フランプトン・カムズ・アライヴ!』(1976年)……と、ライヴ・アルバムは名盤ぞろいで格別なものという認識があるよね。ライヴ・アルバムのほうがいいと言いたいくらいさ。かくしてライヴ盤は、僕にとってエキサイティングでとても興奮するものとなったよ。
ヤードバーズ『ハヴィング・ア・レイヴ・アップ』(1965年)のB面に収録されている「アイム・ア・マン」のライヴ・バージョンには驚いたよ。スタジオ・バージョンにはなかった興奮やワイルドさがあったから。ローリング・ストーンズの『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』(1966年)の「サティスファクション」はスタジオ版よりも3倍くらい速くて、これにも興奮したものさ。スライ&ザ・ファミリー・ストーンのウッドストックでの「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」も最高だ(笑)。
だから若い頃ライヴ盤を聴き漁って過ごした身としては、自分でもライヴ・アルバムを作るというのは特別なことなんだ。スタジオ・アルバムは理想を求めてコントロールされたものであり、その良さもある。片やライヴ盤はそれをさらに爆発させ、よりいいものになっている。
みんなで一緒にライヴ・アルバムを聴いてごらんよ
日本のレコード会社からライヴ・アルバムを作らないかとオファーをもらえてきたことはとても幸運だったさ。キッズの頃好きだったものを今になっても作れているのが本当に嬉しいね。
みんなもたくさんの友人を家に招き、ビールかワイン、しくは日本酒なんかを開けて大音量のライヴ・アルバムを聴いてごらんよ。
俺が若い頃、隣に住んでいたヤツが、ターンテーブルと『バンド・オブ・ジプシーズ』を持って僕の家にきたことがあって。ベース・アンプに彼のアルバムをつなげて、家のステレオでも僕が持っている同じアルバムをほぼ同時にプレイすることでエコーのようなサウンドになり、まるで自分たちがライヴ会場にいるかのような気分になったんだ。“この部屋にジミがいるじゃないか!”という感じで、興奮しながら爆音で聴いてたものだよ(笑)。
もし世の中がいい方向に向かっても、ライヴ・ハウスではまだプレイできなかったとしよう。でもみんなでライヴ・アルバムを聴くことができたら、これはとてもクールなことだと思う。距離を保ってルールを守り、マスクを着けてたってかまわないから、みんなで一緒にライヴ・アルバムを聴いてごらんよ。目を閉じればバンドと一緒の空間にいる気分になれるだろう。
そしてバンドが会場で実際に音楽をプレイし、みんなと一緒に楽しむ日が早く訪れることを祈っているよ!
※インタビューの本篇は、9月16日発売の『メタルハマー・ジャパンVol.3』に