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METAL HAMMER JAPAN 編集部ブログ

マリア・フランツ/ハイルング【『METAL HAMMER JAPAN Vol.8』より】

枝角を付けたミステリアスなペイガン・ヘヴィ・フォーク・バンド、ハイルングの素晴らしいヴォーカリスト、マリア・フランツが、君たちのユニークな質問に答えてくれるぞ。

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 この衝撃的なヴィジュアルを観て、興味を持っていた人も多いことだろう。“ペイガン・ヘヴィ・フォーク”と称されるHEILUNG(ハイルング)は欧州にて高い人気を誇り、スタンダードなヘヴィメタル・バンドではないものの、徐々に世界規模にて注目を集めている。
 今回はヴォーカリストであるマリア・フランツにさまざまな質問に答えてもらい、彼女たちがどのようなミュージシャンであるのか、その一端を知ってもらいたい。ステージ・セットの発想からサウンドへのインスピレーション、空港セキュリティでのやりとりなど……ハイルングへの興味は尽きない。

Text by Ali Cooper
Interpretation by Mirai Kawashima

 

クリストファーの剣のせいで、セキュリティの機械が作動したのね。

—あの枝角は本物?

 本物よ! ノルウェーの雌トナカイのものなの。このプロジェクトを始めて、ステージでのヴィジュアルについて話し合ったとき、最初の瞬間からはっきりと頭に枝角を付けなくてはと思っていて、軽くて女性的なものをずっと探していたの。それでこれらを売りたいという人から手に入れて。
 ショウを2〜3回やることで、距離感がつかめてきたのね。今では世界中のバック・ ステージにある障害物のなかを、とてもゆっくりだけど優雅に移動できるわ。ケーブルが吊るされていたり、ステージ・カーペットがあったりとたくさんトラップがあるけど、枝角は私と一緒によく動いてくれるから。今では頭の5倍もあるものすごく重い枝角を持つ動物が、どうやって歩けるのかも完全にわかる。正しいバランスを保てば、重さをまったく感じないのよ。スタミナもつくし、自然なソーシャル・ディスタンスのツールにもなるしね!

 

—叩きのめせる最大の動物は何だと思いますか?

 マリアとしての私は生まれつき平和主義者だから、動物を叩きのめすなんてことはしない。ただ、シャーマニックなハイルングのキャラクターである私が、必要に迫られ壮大な魔法の戦いをするところを想像してみると、おそらく熊は倒せるわね。

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—あなたたちは動物や人間の死体から作られた非常に大きなセットや楽器を携えてツアーをしています。空港の税関を通るとき、それらのせいでトラブルに発展したりはしませんか?

 剣や槍を持って空港のセキュリティを通らなくてはいけないので、セットを持って飛行機に乗るのはやめたの。一番おもしろかったのはロシアね。すべての荷物をスキャンされて、「Krigsgaldr」で使う剣が入ったクリストファー(ユール/ハイルングのマルチ奏者でプロデューサー)の箱を通したとき、機械が鳴り出したのよ。セキュリティや警察、空港の偉い人など25人くらいに囲まれたわ。大混乱で、結局自分たちは演劇をやっていて、これは小道具だから持ち込めるんだと説得したのね。かなり危ないところだったわ!
 槍のせいでロンドンで止められたときは、とても感じのいいセキュリティ担当が私たちをチラっと見て、“ヨーヴィック・ヴァイキング・フェスティヴァルに行くんですか?”なんて言ってたっけ。
 そんなことがあるから今ではカーゴを使っていて、会社が書類と一緒にすべてを詰めるようにしているの。空港で私たちが “ええ、この太鼓はトナカイの皮でできているのよ”なんて説明をしなくてもいいようにね。

 

—「In Maiadjan」はどのような経緯で『セヌアズ・サーガ:ヘルブレイドII』の予告篇に使用されたのでしょうか? ゲーム本篇にもバンドの音楽が使われるんですか?

 彼らはかなり初期段階で私たちのことを見つけていて、2018年の初めに連絡をしてきてくれたの。メインのサウンド担当と、 オーナーのタミーム・アントニアデスがやってきたんだけど、ちょっとオーディションのような感じで数日間一緒に過ごしたのね。
 ハイルングがゲームにどんな貢献ができるかを話すのは、とても興味深かったわ。ともに同じゴールに向かっていることがすぐにわかったから。彼らはコンピューター・ゲームが持つヒーリングの側面に注目していて、精神的に病んでいる主人公が自らの疾患を旅するという物語を作っていた。とても運命的で、かなり早い段階から一緒にうまくやっていけるだろうと感じていたから。
 ただ頭のなかからアイディアを拾うのではなく、シーンや風景を想像してみるのはものスゴく興味深かった。これがゲーム業界との初接触で、本当に気に入ったわ。発売されたら、みんながどんな反応を示すかとても興味深いわね。 

 

◎続きは『METAL HAMMER JAPAN Vol.8』でどうぞ

 

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