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METAL HAMMER JAPAN 編集部ブログ

トム・エンジェルリッパー/ソドム

各国のミュージシャンが語る<新型コロナ・ウィルス対策>の現状

 

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メタル・ミュージシャンに世界のコロナ事情を聞くインタビュー、その第6弾は、トム・エンジェルリッパー(ソドム)がドイツの現状を伝えてくれた。他国と同じく厳しい状況にあるドイツではあるが、さすがスラッシュ界の偉丈夫、独自のスタンスと気骨のある言葉を聞かせてくれた。

通訳:トミー・モーリー

※インタビューの本篇は、9月発売予定の『メタルハマー・ジャパンVol.3』にて!

 

日本と同じように、ドイツにも外出時にマスクを着用する風習がある

—現在世界中で蔓延するコロナ・ウィルスですが、あなたがお住まいの地域の状況はいかがでしょうか?
とにかく最悪だ。みんな、感染の第二波が来ると言っているよ。すべてのコンサートがキャンセルされていて、[ヴァッケン]さえキャンセルだ。俺らはギリシャでのライヴをキャンセルしたし、ヨーロッパ全土がドイツと同じような状況さ。どう対処すればいいのか、誰にもわかっていないよ。
—やはり、まだ厳しい状況は続いていますね。
3ヵ月もロックダウン状態が続き、買い物か、どうしても必要な仕事しか外出は許されていなかった。俺らもリハーサルをして過ごしていたよ。ミュージシャンたちは収入が絶たれて本当に苦しんでいるし、誰も助けちゃくれないさ。ミュージシャンのみならず、ステージ制作を手伝ってくれるスタッフもみんな仕事がなくて、とても悲惨な状況だよ。ドイツ政府はルフトハンザ航空(ドイツ最大の航空会社)の救済を発表していて、それだけ経済的状況は緊迫しているってことだね。
—ヨーロッパではイタリアやドイツのように混乱を極める国がある一方、スウェーデンのようなスカンジナビア諸国は比較的コントロールできているように感じられます。この違いをどう感じますか?
日本と同じように、ドイツにも外出時にマスクを着用する風習がある。でも何がそこまで違いを生んだかはわからないな。最近じゃ家から出てパーティをするようになったし、飛行機も飛ぶようになってきた。だからこのままじゃ、また感染が広まったって不思議じゃないね。このウィルスのタチが悪いのは感染しても気づかない人がいることや、風邪ほどに身近な人が感染するわけでもなく、その性質がなかなか伝わりづらいことにある。
—そうですね。
その一方で、スペインやイタリアではたくさんの高齢者が亡くなってしまった。そうなるとすぐやれるのはロックダウンに限られてしまう。政府の対応にはいくつか疑問に思うところもあるが、俺は政治的な意見は持たないでおきたい。来年にはワクチンや治療方法が確立されることを願うし、俺らとしても再出発ができることを願っているよ。

  

俺らは動き続けなきゃならないし、誰にも止めることなどできない

—バンドとしては、最近までアルバム制作を行なっており、それは今後も続くようですね。方法としては、互いにファイルを送り合うような形ででしょうか?
リハーサル・スタジオに集まってバンド演奏をするっていうのは周囲から止められていたけど、俺らは気にせずやっていたよ。もちろん、2メートルのソーシャル・ディスタンスは保っていたがね。プロデューサーはかなり高齢ということもあって、“スタジオに来るのは了承したが、キチンと最大限の配慮するように”と言われたよ。俺らは動き続けなきゃならないし、誰にも止めることなどできないさ。家で何もせずダラダラなんての、俺には無理な話さ。
—確かに、その姿はあまり想像できませんね(笑)。
だろ? クリエイティブさは今も健在で、歌詞を書いたり何かしらしているもんだよ。俺らはリハーサルとレコーディングを選んだということだね。とはいえ、状況は緩和されてきてバーの営業なんかも再開したので、緊張は和らいでいる。第二波が来たらまたロックダウンされるだろうけど、俺は怯えちゃいないさ。今年はアルバムをリリースしたいと思っているし、しなくちゃいけないくらいに思っている。15曲も新曲を作り、その内10曲のレコーディングを行なったんだ。もう俺らを止めることなんてできないさ。
—残念ながら9月に開催が予定されていた[スラッシュ・ドミネーション2020]も中止となってしまいました。現状ではいつ日本でソドムが観られるのかわかりませんが、アルバム・リリースを年末から来年初旬に迎え、夏から秋にかけて日本でプレイするというのが現実的なスケジュールなのでしょうか?
今年キャンセルになってしまったショウは、すべて来年には実施しなくちゃならない。ヴァッケンなんか、今年とまったく同じラインナップで実施するとアナウンスしていて、これはグレイトなことだ。俺らはニュー・アルバムをリリースするつもりなので、もっとショウを追加していくかもしれない。スラッシュ・ドミネーションは来年の早い段階で実施するのか、来年の同時期にするのかは決まっていないようなんで、訪日については読めないところだな。
—それはそうですね。
だって日本だと、今は2000人を集めるようなライヴそのものが無理なんだろ? しかもそんなサイズの会場に100人しか入れないとか、そんなの馬鹿げている。ここドイツで“ドライブイン形式のライヴ”をやらないかとオファーをもらったが、車のなかで座っているオーディエンス相手にライヴなんてできるかって話だ。そんなオファーはたくさん来るが、俺の返事はすべて“ファック・ユー!”さ。俺はファンで埋まったクラブでプレイしたいし、あの空気が好きなんだ。スピリットがあるんだよ。でも来年にウィルスがなくなっているかどうかもわからないし、ひょっとしたらずっと存在し続けるのかもしれない。“そのとき”が来るまで待つしかないかな。

※インタビューの本篇は、9月発売予定の『メタルハマー・ジャパンVol.3』にて

 

各国のミュージシャンが語る<新型コロナ・ウィルス対策>の現状シリーズ

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