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METAL HAMMER JAPAN 編集部ブログ

ウィル・ハント/エヴァネッセンス

各国のミュージシャンが語る<新型コロナ・ウィルス対策>の現状

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メタル・ミュージシャンに世界のコロナ事情を聞くインタビュー。第9弾となる今回は、実に10年ぶりとなるオリジナル・スタジオ作『ザ・ビター・トゥルース』を発表するエヴァネッセンスより、バンドの屋台骨であるドラマーのウィル・ハントに登場願おう。バイデン新政権となったアメリカでのコロナ状況とその新たなる終結方針とは?

通訳:トミー・モーリー

※インタビューの本篇は『メタルハマー・ジャパンVol.5』にて

 ※インタビューの状況・話題は、1月後半取材時の内容となります。

 

 

俺はこの国にリーダーシップがないことに、本当に恐怖を覚えた。

―早速ですが、居住地域の状況についておうかがいします。
 OK。俺が住んでいるのはフロリダ州のオーランドで、エイミーが住んでいるナッシュビルよりもっと南にある。フロリダ州はアメリカのなかでも特殊で、実はかなり制限が解除されていてね。もちろんレストランとかそういった施設は密にならないようにキャパシティの制限があるんだけど、ほかの州に比べたらかなりオープンな状態でやれているよ。


―状況が安定しているという判断なんでしょうか?
 今のところ、俺らはうまくやれていると思うね。街を行き交う誰もがマスクを着用していて……もちろん一部にはそういったところに反抗するような過激な考え方の人もいるけれどね。あとフロリダはわりと温暖な気候でもあるから、ジョージア、テネシー、テキサスといったココよりも北の州の人たちに比べて、野外で過ごすこともできているよ。


―そんななかで昨年は大統領選挙があり、いろいろ大変でしたでしょうね(苦笑)。トランプ氏vsバイデン氏の構図や、新型コロナ・ウィルス関連の政府の対応について、個人的に思うことはありますか?
 俺は今までキャリアを通じて、自分のやっていることは純粋なエンターテインメントだから、政治に関しては口を挟まないでやってきた。しかし、ときには黙っちゃいられないような、ふざけたことも起こりうるわけで、それをあのドナルド・トランプって野郎とその政権に対して感じてしまった。俺らの国にとって本当にどうしようもない状況だったんだ。


―もう黙ってはいられない、と。
 コロナ以前に起こった最悪の事態といえば、まさしくこのことだった。そしてこのコロナ・ウィルスのパンデミックが始まったとき、俺はこの国にリーダーシップがないことに本当に恐怖を覚えた。グレイトなリーダーが必要だというときになって、俺らはみんな自分たちにはそんな奴らがいないってことがすぐさま思い浮かんだはずだよ。


―ときの大統領は、自分たちのリーダーではないと感じていたということですね。
 だからジョー・バイデンが次のリーダーとして決まったとき、俺はまるで漆黒の雲が晴れていったような気分だったさ。静寂と希望が天から差し込んできたんだよ。今やホワイトハウスにはこういった状況を解決するためにどうしたらいいのか考えて行動できるリーダーがいるわけで、これって本当に新しいことだと思うしとても大きな安心をもたらしてくれている。バイデンはまだ数日(※1月取材現在)くらいしか大統領として活動していないけど、すでにトランプの4年に匹敵するほどの仕事をやってくれている。


―ハハ、なるほど(苦笑)。
 アメリカにはトランプとその政権が残していった粗大ゴミが山積みになっていて、どうしてアメリカ人の多くがそんなクソ野郎のことを一時でも信じてしまったのかいまだに理解できないよ。アメリカという国が自由だからそういったことが起きてしまったと言えるかもしれないが、トランプがどれだけ多くの分断を俺らにさせたのかを考えると苦痛でしかない。でも、バイデンが再び団結をもたらせてくれることに期待しているよ。


―音楽活動にも、再スタートの兆しは見えてきましたか?
 そもそも、まだツアーができない状況だからね。日本も状況は同じだと思うけど、音楽に限らず、どこかの場所に人をパンパンに集めること自体ができないから。野外だったとしても、数千人~1万人近い人たちを密になる状態で集めることは非現実的だよ。


―そのとおりで、日本でも同じです。
 ミュージシャンやアーティストたちはみんなそうだと思うけど、エヴァネッセンスとしてもこの状況になんとか対処しなければいけないところだった。しかし俺らがある意味ラッキーだったのは、この1年間でアルバムを作りたいと考えていたことで。


―そもそも、制作期間に当てたいと考えていたということですね。
 もちろん俺らが思い描く方法やスケジュールどおりにはならなかったけど、納得のいくアルバムが完成したよ。バンドが取り組みたい課題がしっかりと目の前にあり、そこに対して感じたことをクリエイティブな形で吐き出すことができたんだ。これはある意味良かったことでもある。


―なるほど。
 実は去年、90年代のバンドのスローター、そしてモトリー・クルーのヴィンス・ニールともプレイする機会があってね。それぞれ3月の実施だったが、プライベートなショウだったので約3000人が入る会場にたった150人くらいしか入れずに行なったんだ。ソーシャルディスタンスは保っていたけれど、こんなの普通じゃありえないよ。それらが本当に最後にプレイしたライヴだね。


―楽曲を配信販売にする、無観客webライヴを行なうなど、さまざまな活路を見出すバンドがいます。あなたたちとしては、<無観客ライヴを積極的にやっていく/逆にしっかり待ってから活動する>だと、どちらのスタンスが近いでしょうか?
 俺らは[headcount.org]という団体をサポートしているんだけど、この団体はさまざまな投票ごと、変更や登録ごとなどの支援を行なっているんだ。例えば公的書類の申請や住所変更など複雑な作業をわかりやすく提供して、自立支援などを行なうのが目的だね。その団体の立ち上げの際に登録をしてくれた数千人から数万人を対象としたオンライン・コンサートのアーティストとして、俺らは協力させてもらったよ。


―スタジオから、ライヴ映像を届けたということですね。
 実際には、ジェン(マジューラ/g)はドイツ、ティム(マコード/b)はサクラメントからの参加となったんだけど、プロデューサーのスタジオとつなげて事前に収録し、ファンを含めた大規模の視聴者に向けて配信を行なったんだ。通常のフル・サイズのステージでのパフォーマンスとはいかなかったしスタジオからの映像ではあるけど、新曲も含めて8~9曲くらいはプレイしたと思う。今後フル・サイズのプロダクションで同じことがやれるかどうかはわからないけど、それは今年の9月に予定どおりツアーに出られるかどうかにかかってくるだろうさ。

 

※インタビューの本篇は『メタルハマー・ジャパンVol.5』にて

 
10年ぶりとなる最新オリジナル・スタジオ作

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『ザ・ビター・トゥルース』
ユニバーサル/UICN-1101(通常盤)
※3月24日発売

Amazon.co.jp: ザ・ビター・トゥルース: 音楽

 

各国のミュージシャンが語る<新型コロナ・ウィルス対策>の現状シリーズ

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