ジョン・ペトルーシ／ドリーム・シアター【『METAL HAMMER JAPAN Vol.8』より】

ジョン・ペトルーシはドリーム・シアターのギター・マジシャンにして、プログレッシブ・メタル界随一の髭のメインテナンス師だ。果たして君たちの質問で、彼の立派なアゴ髭を逆立たせることはできるだろうか？

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　ハードなツアー・サイクルからの休みが延長されたことで、ドリーム・シアターのジョン・ペトルーシが貴重な休息時間を得たと考えるのなら、それは間違いだ。新たなソロ・アルバム、22年ぶりのリキッド・テンション・エクスペリメントのアルバム、さらにドリーム・シアターの新作といった具合に、メタル界のリフ・マイスターは、パンデミックの間も休むことなく創作に勤しんできた。10月に発売した15枚目のアルバム『ア・ヴュー・フロム・トップ・オブ・ザ・ワールド』を祝し、立派な髭のメインテナンス法、8弦ギターへの挑戦、ドリーム・シアターの輝かしい功績などについて解き明かしていこう。

Text by Ali Cooper
Interpretation by Tommy Morly

女性のミュージシャンはたくさんいるのに、どうして僕らのショウには来ないんだ？

—あなたは何年もの間、数多くのギタリストにフェイバリット・プレイヤーとして挙げられてきました。実際、自分のプレイに自信を持ち、“イケてるギタリスト”だと認識したのはいつ頃のことですか？

　ティーンエイジャーの僕は毎日6時間はギターの練習をしていて、次第に“これをキャリアとして歩んでいきたい気がしてきたぞ。そして、自分のヒーローの何人かと同じように、ボストンのバークリー音楽大学に通ってみるべきじゃないかな”と考えるようになってね。
　15歳頃には自分でもうまくやれるって気づいたし、そもそもギターを弾くことが好きで何時間でも弾き続けられたものだよ。こんな経験をしたことはほかに一切なかったからね。

—新曲を書くときは、最初に何が思い浮かびますか？　リフ、メロディ、リズム、もしくはそれらのすべてですか？　そして残りの部分はどのように作り上げていくのでしょうか？
　曲によりけりだね。ギター・プレイヤーとしてはやっぱり最初にリフが思い浮かぶけど、作詞家やソングライターとしてはメロディが常に頭のなかを巡っているかな。
　ドリーム・シアターの場合は曲のセクションによっても異なるもので、ときとして長尺になりつつもメロディによってドライブするものもある。でもほとんどの部分では、ギター・リフやモチーフによってドライブしていくよね。

—プログレッシブ・メタルを作曲するようになったのはなぜ？

　僕がかつてプレイしていたバンドの方向性もあって、自然とこうなったよ。僕はメタルに夢中で、アイアン・メイデンやメタリカといったバンドがヒーローだったけど、それと同時にラッシュ、イエス、ピンク・フロイドのファンでもあった。友人たちと一緒に音楽を作り始めると、僕をインスパイアしてくれたものが自然と組み合わさっていったんだ。

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—現在、家でよく流れている音楽は？

　実は、家ではまったく音楽が流れていなくて！　世界中のどの家庭でも同じような状況だと思うけど、［Netflix］、［Hulu］、［Disney+］がかかっていて、アルバムを聴くことなんてほとんどないんだよね。当たり前のことだけど、今回ドリーム・シアターのニュー・アルバム『ア・ヴュー・フロム・ザ・トップ・オブ・ザ・ワールド』を作ってきて、ここ数ヵ月聴いてきたのはこのアルバムだけだったから。5000回くらい聴いたんじゃないかな！　多くの人たちは僕が運動したり、車を運転したり、家で過ごしているときに音楽を聴いていると思っているようだけど、実はまったくしないんだよね。

—ドリーム・シアターの新曲「ジ・エイリアン」では、ドラムとベースのサウンドが直近3枚のアルバムよりもはるかに優れていると感じます。

　『ア・ヴュー・フロム・ザ・トップ・オブ・ザ・ワールド』は僕たちがロングアイランドに作ったDTHQ（ドリーム・シアター・ヘッド・クォーターズ）で初めてレコーディングしたアルバムだ。2020年に僕はソロ・アルバム『TERMINAL VELOCITY』、そしてリキッド・テンション・エクスペリメントの『LTE3』をレコーディングして、去年の10 月にドリーム・シアターとして入ったんだ。
　エンジニアのジミー・T・メスリンと、ジューダス・プリーストも手がけているミキシング・エンジニアのアンディ・スニープたちの能力に助けられたところがかなりあるよ。才能溢れる人たちが集結してチームワークを発揮したことで、素晴らしいサウンドになったよ！　僕らはいつも自分たちを限界まで追い詰め、互いを刺激し合い、サウンドや作曲がどうしたらより良いものになるかを探っている。だから多くの人から反響が得られるのはグレイトなことだし、特に僕らくらい長いキャリアを歩んでくるとより一層感じるよね。